社会人なら知ってて当然?資産運用の新常識『つみたてNISA』:基礎編

社会人なら知ってて当然?資産運用の新常識『つみたてNISA』:基礎編

つみたてNISAメリット
説明できますか?

国が国民に対して、資産運用を促すために作った制度の『つみたてNISA』。日本で暮らしていたら、誰もが聞いたことがあると思います。中には、実際に活用している人も多いのでないでしょうか。

『つみたてNISA』について、聞いたことがあっても、説明できないという人は多いです。実際に、活用している人の中にも、「他人に説明してくださいって言われると…。」という人は少なくないと思います。

2022年度からは、高校の授業で『つみたてNISA』や『iDeCo』について取り扱っていきますので、社会人としての教養としてしっかり説明できるべきでしょう。

『つみたてNISA』は、それほど難しい制度ではないので、しっかり勉強して、スラスラと説明できるようになりましょう!

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『つみたてNISA』とは?

つみたてNISAとは、2018年1月にスタートした『長期・積立・分散』投資を支援するための非課税制度です。まだまだ歴史の浅い制度ですね。
非課税の『NISA』制度には、他にも、『一般NISA』と『ジュニアNISA(2023年終了)』があります。
つみたてNISA最大のメリット『非課税』は、投資家にとって非常に嬉しい制度です。

つみたてNISAの対象商品は、手数料が低く、頻繁に分配金が支払われないなど、『長期・積立・分散』投資に適した公募投資信託とETF(上場株式投資信託)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。

また、つみたてNISAの非課税枠は、年間40万円が上限です。非課税期間は20年で満期を迎えると課税口座に移されてしまいます。ロールオーバー(翌年の非課税枠に移すこと)もできませんので、引き出すタイミングには少し注意が必要です。

つみたてNISAの概要|非課税投資枠の取扱い ‐ 金融庁

◆つみたてNISAはイギリスのISA制度を参考にされた制度

あまり知られていないのですが、日本のつみたてNISAは、イギリスの『Stocks & Shares ISA』を参考にして作られた制度です。イギリスのISA制度は、日本のNISA制度と異なる点も多いので、要点だけでも覚えておきましょう。

何と言っても、ISA制度の大きな特徴は、下の2つでしょう。
年間投資上限額:2万ポンド(日本円で約270万円
非課税期間:恒久

つまり、無期限で毎年270万円(22.5万円/月)の積み立てが可能であるということです。仮に、満額を年利6%で20年間運用すると、トータル資産は1億円を超えます。そして、非課税です。投資家にとっては、非常にメリットが大きいですよね。

こんな制度が日本にもあれば…。

ISA制度の良いところをそぎ落としたような日本のNISA制度… ※参考

つみたてNISAのメリット

◆つみたてNISAは最長20年間非課税

つみたてNISAは運用益・分配金が最長で20年間非課税となります。
通常、投資で得た運用益・分配金に対しては、20.315%の税金がかかります。しかし、つみたてNISAで運用していると、最長で20年間は税金がかかりません。
そのため、本来なら差し引かれるべき税金分も、再投資して運用していくことが可能です。

◆つみたてNISAは少額から始められる

つみたてNISAは、毎月の積立額を少額からでも始めることができます。
金融機関によって異なりますが、毎月1,000円、1万円など、生活に負担をかけない範囲で長期的に資産形成を目指すことができます。
そのため、資金が少ない投資初心者でも、つみたてNISAは始めやすくなっています。

◆つみたてNISAは「買いのタイミング」に迷わない

つみたてNISAは、その名前の通り『積立投資』だけを認めている制度です。
「買いのタイミング」を見極めることは、相場を読むということです。相場を読むことは、投資のプロでも難しいとされています。この相場が投資を複雑にしているとも言えます。

ただ、相場を読めなくても、投資をすることはできます。つみたてNISAは、設定した間隔で自動的に買い付けることができます。そのため、相場を読めるようになる必要はありませんし、「買いのタイミング」を自分自身で判断する必要も手間もありません。

手間がなく、簡単に始められるという点でも、つみたてNSIAを利用する人は多いでしょう。

◆つみたてNISAはドルコスト平均法を活用

つみたてNISAを利用する上で、必ず覚えておくべきキーワードが『ドル・コスト平均法』です。
ドルコスト平均法は、価格が日々変動する金融商品の変動リスクを抑えるため、一度に投資をするのではなく、毎月や毎週など定期的に一定額ずつ投資することで、購入額を平均化する方法です。

例えば、積立投資で毎月一定額で金融商品を購入すると、価格が高いときには少なく、安いときには多く買い付けることになるため、毎月一定量(口数)を買う方法よりも、結果的に買付単価を抑えられることになります。

価格が日々変動する金融商品は、価格が高いときに一気に購入してしまうと、高値づかみをしてしまう可能性があります。積立投資であれば、ドルコスト平均法でできるので、高値づかみを気にする必要はありません。

◆つみたてNISAは低コストで長期運用

つみたてNISAで購入することができるのは、金融庁が『長期・積立・分散』投資に適すると判断した公募投資信託とETF(上場株式投資信託)に限定されています。
特に、インデックスファンドなどの商品は、信託報酬や手数料などのコストが安くなっています。


つみたてNISAを使うと、非課税制度だから利益がそのまま手元に残ると考える人もいますが、金融商品には必ず手数料がかかりますので、注意が必要です。
より利益を残すためにも、できるだけ手数料がかからず、パフォーマンスが高い商品を選ぶことが大切です。

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つみたてNISAのデメリット

◇選べる金融商品が少ない

つみたてNISAのメリットでも前述しましたが、金融庁が『長期・積立・分散』投資に適すると判断した公募投資信託とETF(上場株式投資信託)に限定されています。限られた商品の中で選ばなければならないので、積立投資だけではなく、個別株やREITへの投資をしたい人には適しません。
例えば、非課税枠の中で、国内外の個別株やREITへの投資をしたいと考えた場合には、つみたてNISAは利用できないので、一般NISAを選ぶ必要があります。

一般NISAでは、非課税枠が上限120万円になりますが、非課税期間は最長5年と短く、短期投資向けになります。上手く使い分けていく必要があります。

◇税制上の恩恵を受けられない

つみたてNISAで損失が出た場合、通常の投資では認められているような他の運用益と相殺したり(損益通算)、年をまたいで繰越したり(繰越控除)することができません。

○損益通算

例えば、商品Aで100万円の運用益が出たとします。一方、同時に投資を行っていた商品Bで100万円の損失が出た場合、通常であればその100万円は相殺され、得た運用利益は0円という扱いです。

しかし、NISA口座の場合は、この運用利益を相殺することができません。
先ほどの例でいえば、100万円の損失が出ている商品BがNISA口座ならば、商品Aの運用益100万円はそのまま計上されてしまいます。
そのため、実際には100万円の利益を得ていないのにも関わらず、100万円に対しての税金がかかることとなります。

○繰越控除

通常の投資であれば、損失を3年間繰り越せるという特徴があります。
そのため、翌年100万円の利益が出た場合であっても、前年の100万円の損失と相殺して利益をゼロに計上することができます。

この繰越控除もNISA制度では利用することができません。

◇非課税期間終了時に含み損の可能性がある

つみたてNISAの非課税期間が終了すると、運用していた資金は、非課税口座以外の課税口座(一般口座や特定口座)に払い出されます。
もし、このタイミングでコロナショックやリーマンショックと同様の暴落が起きてしまうと、含み損を抱えたまま払い出すことになります。

せっかく20年間も運用してきたのに、引き出し時に損をするというリスクも0ではありません。

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つみたてNISAを始める際の留意点

◆口座開設

  • NISA口座は、1人1口座に限り開設できます。ただ、つみたてNISAと一般NISAのどちらかを選択する必要があり、同時に開設することはできません。
  • 金融機関の変更は可能ですが、変更しようとする年の9月末までに、金融機関で変更の手続きを完了する必要があります。また、すでに金融商品の購入をしていた場合には、翌年の投資分から変更が可能になります。
  • 年単位でつみたてNISAと一般NISAを変更することは可能です。変更の手続きは、原則として、その年の前年の10月から12月の間に完了させる必要があります。

◆非課税投資枠

  • つみたてNISAで非課税投資枠は年間40万円(33,333円/月)までです。
  • その年に非課税投資枠の未使用分があっても、翌年以降に繰り越すことはできません。

◆口座間移動

  • つみたてNISA口座以外の口座で保有している金融商品をつみたてNISA口座に移すことはできません。反対に、つみたてNISA口座で保有している金融商品を、他の金融機関のつみたてNISA口座に移すこともできません。

◆分配金再投資とスイッチング

  • 収益分配金を再投資したり、スイッチングを行う場合には、その分の非課税投資枠が必要です。つまり、収益分配金の再投資やスイッチングは、新規購入と同様に非課税投資枠を利用するということです。そのため、その年の非課税投資枠を使い切ってしまっていると、収益分配金の再投資やスイッチングができません。

まとめ

つみたてNISAのメリットは、何と言っても非課税という点です。
資産運用を考えるなら、つみたてNISAを上手に活用していくことがおすすめです。

ただ、非課税枠や期間が決まっていますので、つみたてNISAだけで資産運用が十分かと言われると、微妙な部分があります。もちろん、つみたてNISAでも資産運用は可能です。

しかし、資産運用で一番重要なことは出口管理です。
つまり、目的です。

「何のために資産運用をするのか?」

この目的を明確にすることが資産運用においては重要です。
つみたてNISAは、あくまでも手段の一つでしかありません。

「なぜ、つみたてNISAを使うのか?」

重要なのは、「つみたてNISAで資産を運用する」ことよりも、「増えた資産を何に使うのか」です。

教育資金に充てるため?
老後資金を蓄えるため?
マイホームを購入するため?

つみたてNISAを利用して資産運用を始めるのは良いと思いますが、同時に、「何のために資産運用をするのか?」という資産運用の目的についてもしっかり考えていきたいですね。

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